曽我部恵一ランデヴーバンド「ランデヴーコンサート」@九段会館:2008(02)

今、シャッフルでいろいろ聞いていたら、曽我部恵一の「朝日のあたる街」が流れてきた。
何百回、何千回と聞いてきたのに、この人の歌声を聞くと、いつも震える。
歳を追うごとに、歌が好きで、歌を歌い続ける人だけが持つ声の(というものがあったとして)純度を高めていく、その姿がどうしようもなく、私の心を震えさせる。
1月30日、九段会館で行われた彼のコンサートへ行った。
私は言葉を上手く書くことができなくて、それがすごくもどかしくて、どうしたってあの時の涙など言葉に表すことが出来なくて、そのまま胸にしまっておこうとしていたけど、少しだけ残しておきます。


2部構成の第1部は、4th「サニーデイサービス」全曲アコースティック演奏。
終わって、一度舞台から下がるのではなく、そのままギターをかき鳴らして、その音に導かれるようにメンバーが集まって、第2部のランデヴーバンドのコンサートが始まった。
欲とか背伸びとかを入り込ませない、ただただ現実の、気持ちのいい音だけを出す、という行為はなんて美しいのだろうと思う。
1曲目、「女たち」でどんどん音が重なっていき、その音が集まった瞬間、大げさかもしれないけど、気持ちのいい大きな草原にぽんと連れていかれたような気分になって、その重なった音の清さ、美しさに涙が流れていた。
そのまま、2回目のアンコール「24時」まで、嘘のない、暖かく美しく柔らかく優しい音に包まれていた。
彼の歌はただ美しいだけではない。きっちりと現実が埋め込まれている。見落としてしまいそうな日常のちょっとのことが。私が彼の音を愛する理由はそこにあるのだと思う。
どんどん太さを増し、かすれていく声。そこには浮世に離した音ではなく、日常と共生する音がある。自分の今いる時間を感じさせる音が。
私はきっと、いろんなものに興味を持ちながらも、日常の一部として、ずっとずっと彼のその時その時紡ぎだす現実を自分と重ね合わせて追い続けていくのだと思う。