サマーソルジャー

いつも、夏は、暑さにまかせて過ごしている。
冬のつんとした寒さも時には好きになるけれど、寒さに身をまかせることは決してしない、できない。
この溶けるよな熱気と、じりじり射す陽射しは、いつもいつも心地いいとは限らないけれど、特別な何か、だ、私には。
今年の夏は、まいにちゆっくりとじっくりと過ぎ去っていく。
煙草を吸う回数が驚くほど少なくなって、なくてはならないものが1つ減ってなんだか随分身軽になった。
週に一度くらい、2日酔いになって泥のように眠っている。
時どき思い出したように掃除をする。エタノールとミント油とローズマリー油をほんの少し混ぜた水で、汗をぽたぽた落としながら夢中になって床に雑巾をかける。
もずくと茄子とゴーヤとひじき。手をかえ品をかえ、毎日といっていいほど食べている。時どき無性に餃子が食べたくなる。そんなときは友人に電話をかける。
時どき歩いて、時どき走って、時どき本を読んで、時どき音楽に体を揺らし、時どき買い物をして、時どき丁寧にお化粧をしてお気に入りの服を着て出かける。
そしていつもの夏と同じようにひとつ歳をかさねた。
今年の夏はゆっくりじっくりと、いつもどおりの夏をくりかえしていく。